10-2. DNAライブラリー:クローニングの材料
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1) ファージベクターを使うか、プラスミドベクターを使うか
DNAライブラリーはベクターの種類によりプラスミドライブラリーとファージライブラリーに分かれる
プラスミドベクター
利点
扱いやすい
大量のDNAが得られる
細かな操作ができる
法的規制がゆるい
ライゲーションなしの組換えが可能
欠点
DNA導入効率が低い
→エレクトロポレーション法により高められる
大きなDNAを導入できない
→BAC、PAC、YACなどは巨大DNAが組込める
ファージベクター(λファージベクター)
利点
導入効率が高い
一度に扱えるクローン数が多い
欠点
操作が煩雑
組込みDNAのサイズに上限・下限がある
得られるDNAは少ない
実験によってはより厳しい法的規制がかかる
「遺伝子を見つけ出す」という観点から見れば、組込みDNAのサイズが大きくてDNA導入効率が高く、シャーレに多数のクローンを生やせるファージ(特にλファージ)の方がライブラリー作製に適している
しかし、ファージは扱いが煩雑で多量のDNA取得には向かず、また一方でプラスミドはBACやPACなどの巨大DNA組込み用のベクターが使え、エレクトロポレーション法による効率的DNA導入法が可能など、ファージの優位性は絶対的なものでもない
2) λファージを使ったDNAライブラリーの作製
概要
λファージに由来するクローニングベクターを使う
ファージの増殖に必須でないDNA中央部が制限酵素切断で除かれているので、そこに制限酵素で切断したゲノムDNA断片を組込む
ライゲーション後、下記のようにDNAをファージ粒子内に収納させるパッケージング(包み込み)を行う
ライゲーションにより、cos同士で連結して多量体化したファージDNAができるが、この構造はパッケージングに必須
できたファージを大腸菌に感染させ、高濃度ファージ溶液を調製する
in vitroパッケージング
試験管内でλファージ粒子を形成させる操作
例として、頭部形成と、DNAパッケージングに関する遺伝子に欠陥を持つファージ感染細胞抽出液を別々に用意し、これを組換え操作を経て、ライゲーションで多量体化したファージDNAと混ぜる
これにより試験管内でDNAがパッケージングされ、ファージ粒子が形成される
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パッケージングはcosでの切断と同時でないと進まない
3) プラスミドを使ったDNAライブラリーの作製
サブクローニングの要領でDNAライブラリーをプラスミドに組み込む
現在のゲノミックライブラリーは巨大DNAが組込めるベクター(e.g. BAC, PAC)を使用したものが中心
cDNAやRT-PCR産物など、インサートサイズの小さいものでは一般にプラスミドベクターが使われる